日没前後は「薄暮時間帯」と呼ばれ、周囲の明るさが急速に変わることで視界の状況も刻一刻と移り変わります。
特に秋から冬にかけては、帰宅ラッシュや買い物で人や車の動きが増える時間帯と重なり、交通事故が起こりやすくなる傾向があります。
今回は、この薄暮時間帯に焦点を当て、事故を防ぐためのポイントを考えていきます。
薄暮時に起こる事故の傾向
令和2年〜6年の5年間で発生した死亡事故を時間帯別に見ると(下図)、日没時刻に当たる17時台〜19時台が特に多いことが分かります。
また、薄暮時間帯に発生した死亡事故を当事者別に分類したデータでは、「自動車と歩行者」の関係による事故が約半数を占めています。
薄暮時に事故が増える理由のひとつには、急な明るさの変化や、目が暗さに適応しづらくなることで発生する「見落とし」が挙げられます。


出典:警察庁交通局「薄暮時間帯における交通時事故」
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/hakubo.html
薄暮時間帯に起こる視界の変化とは
秋から冬にかけての日没前後は、短い時間でも視界が著しく変化します。
- 人間の目は暗い環境に順応するまで時間がかかり、歩行者や自転車、車の発見が遅れやすい
- 周囲が暗くなるにつれて明暗差が大きくなり、色や形の判別がしづらくなる
特に黒・グレーといった濃い色の服装をした歩行者は、背景と同化してしまうことが多く、気づくのが遅れやすい点が大きな危険要因です。
薄暮時間帯の事故を防ぐための対策
薄暮時の事故リスクを減らすために、次の点を意識してみましょう。
① ライトは早めに点灯する
日没の30分ほど前を目安に、積極的にヘッドライトを点ける習慣をつけましょう。
少し暗くなったと感じたら、すぐに点灯するのが安全です。
ヘッドライトは自分が見やすくなるだけでなく、歩行者や自転車に「ここに車がいる」と知らせる大切な役割も果たします。
② ハイビームを上手に使う
基本的にはハイビームで走行することで、より遠くまで見通すことができ、危険を早期に確認できます。
照射距離はハイビームが約100m、ロービームが約40mと大きな差があります。
対向車や前を走る車がいる場合は、迷惑とならないようロービームに切り替えるなど、状況に応じた使い分けを心がけましょう。
③ 歩行者・自転車を意識的に“探す”運転を
暗がりや建物の陰、電柱の影など、見えにくい場所を意識してチェックする「探す運転」を心がけましょう。
住宅街や交差点など人の往来が多い場所では、スピードを控えめにし、万が一の認知遅れにも対応できる余裕を持った走行が大切です。
記事出典:損保ジャパン「Monthly Report」

